「欲しい財布を、自分の手で作れないだろうか。」

そんなささやかな問いかけが、KIKUCHI LEATHERの原点です。

使うたびに手に馴染み、日々の暮らしにそっと寄り添ってくれる道具。

そうした存在を、自分の手で生み出したい。

その思いが、私をものづくりへと向かわせました。

現代社会では、スピードや合理性が重視され、大量生産が主流となっています。

しかし、「もの」の本質的な価値とは、果たして数字や効率だけで語れるものでしょうか。

素材選びから型紙の製作、裁断、漉き、縫製に至るまで、すべての工程を一人で手がけています。

それは単なる制作手法ではなく、作品に宿る一貫した意志と美意識を大切にしたいからです。

KIKUCHI LEATHERが目指すのは、シンプルで飽きのこないスタンダードなデザイン。

流行に左右されず、長く使い続けられる確かな佇まい。

日常の中に自然と溶け込みながら、確かな存在感を放つ日用品。

手に取るたびに、使うほどに、革は少しずつ表情を変え、

持ち主だけの色と風合いを刻んでいきます。

その変化こそが、ものとの対話であり、時間をともにする喜びだと考えています。

創作のヒントは、いつも日々の暮らしの中にあります。

さりげない風景、静かな時間、小さな気づき。

そうした日常の断片が、やがて一つのかたちとして結実していきます。

まずは、自分自身が心から納得できるものをつくること。

そして、それが誰かの暮らしの中で、長く愛されるものであってほしい。

KIKUCHI LEATHERは、そうした想いのもと、一点一点を丁寧に、誠実にお届けしています。

KIKUCHI LEATHER キクチレザー

革職人 菊池健治

Profile:神奈川県出身。成城大学法学部法律学科卒。大学在学中に写真に興味を持ち、卒業後カメラマン養成学校、アシスタントを経たのち商業カメラマンとして活動する。その後、「モノづくり」の魅力に惹かれ、一念発起し独学で革工芸を学び様々な活動を経て革職人になる。時間と手間を惜しまず丁寧な仕事を心がけて、「私にしかできない仕事」を探求し、日々革小物やバッグなどの製作を行う。